ノジマは、地球環境との共存は経営理念「社会に貢献する経営」の実践そのものという考えのもと、「ノジマ環境宣言!! 省エネで地球と環境に優しく。」を掲げ、事業活動全体を通じた環境課題解決に取り組んでいます。
また、グループの重点課題を決定するうえで、年々激化する気候変動問題についても非常に重要な項目の一つとしてとらえており、グループの中核会社である株式会社ノジマ(以下、当社)は、「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」※が推奨する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」に関する情報の開示を進めることにいたしました。
※TCFDとは、G20の要請を受け、金融安定理事会(各国の金融関連省庁及び中央銀行からなる国際金融に関する監督業務を行う機関)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するために設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」を指します。TCFDは2017年6月に最終報告書を公表し、企業等に対し、気候変動関連リスク、及び機会に関する情報の開示を推奨しています。
当社は事業活動を通じて持続可能な社会の実現を目指し、2021年11月に「サステナビリティ推進プロジェクト」を新設しました。
また、取締役会の直轄組織として「サステナビリティ委員会」を立ち上げ、その事務局をサステナビリティ推進プロジェクトが担います。
今後は、サステナビリティ推進委員会を中心として、CO2排出量削減目標(KPI)の達成を目指して実施計画の策定と進捗管理を進めてまいります。
気候に関するリスクと機会を分析するとともに、事業戦略への影響を把握し、戦略の見直しや気候変動の緩和や適応につながるさまざまな対策を検討してまいります。
また、サステナビリティ推進プロジェクトには、気候変動関連の情報開示を進める担当を設け、事業戦略、さらにはリスクを管理する部署が、TCFDが推奨する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」に関する情報の開示を今後更に充実していきます。
今後は、同委員会で検討した結果についても、サステナビリティ推進中心になって情報開示を強化してまいります。
気候変動に伴うリスク及び機会には、GHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)排出に関する規制等の低炭素経済への「移行」に起因するものと、気象災害の激甚化等の気候変動による「物理的」変化に起因するものが考えられます。
当社では、これらのリスクや機会による影響の発現時期はそれぞれ異なると認識しており、短期(3年未満)、中期(3~10年未満)、長期(10年以上)の観点で以下の表のとおり整理しました。
項目 | 事業への影響 | 事業・財務への影響 | 影響発現想定時期 | ||
2°C以下 シナリオ |
4°C シナリオ |
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移行リスク | カーボンプライス(炭素税等)の導入 | 炭素税導入により事業コストが増加 | → | → | 中期 |
電力価格の上昇 | 光熱費高騰によるエネルギーコストが増加 | → | ↑ | 短期 | |
物理リスク | 気候パターンの変化 (平均気温の上昇等) |
店舗、配送センターなどにおける空調電気使用量の増加 | → | ↑ | 長期 |
異常気象の激甚化 (猛暑、大雨、台風増加) |
店舗の浸水等による被害、休業による売上の減少 | → | → | 短期 | |
機会 | 脱炭素への移行 | 省エネルギー化による事業コスト低下 ・各事業所における徹底した省エネ ・配送ルート効率化 |
→ | → | 中期 |
再生可能エネルギーの技術開発 | 低コスト化した太陽光発電等の導入による エネルギーコストの減少 |
→ | → | 長期 | |
市場の変化 | 環境配慮型商品・サービスの普及による需要の増加 ・自社省エネコンサルタントによる節電家電の購入や電気料金見直しなどのコンサルティング |
↑↑ | ↑ | 中期 |
グループ全体を対象としてリスク・機会の事業への影響についてシナリオ分析を進めており、まずは分析の対象を以下のように設定してシナリオ分析に着手してまいります。
対象事業 | デジタル家電専門店運営事業 |
対象期間 | 2030年、2050年 |
分析対象 |
・炭素価格の導入による店舗運営コストの増加 |
・気象災害の激甚化による店舗への影響 |
|
参照したシナリオ | ・IEA WEO 2019 SDS・STEPS(2℃)、CPS(4℃) |
・IPCC第5次評価報告書 RCP2.6(2℃)、RCP8.5(4℃) |
当社のCO2排出量の大半は電力に由来すると認識しています。よって、今後、気候変動の緩和に向けて、排出量に対して炭素価格が導入された場合、当社の電力調達に対して追加のコストが発生するため、電気使用量の削減等の自社の状況と調達する電力のCO2排出係数や価格の状況によって影響度は左右されることが考えられます。
そこで、当社が重点課題として実施している省エネの取り組みを行う場合と、取り組まない場合において、今後の炭素価格や電力セクターの排出係数、電力価格の予測を加味し、シナリオ分析を行いました。
また、当社がSDGs推進に向けた取り組みとして設定した「2050年の1店舗当たりのCO2排出量100%削減」を達成するために必要な再生可能エネルギーの調達コストについても分析を行いました。
その結果、2030年時点、2050年時点ともに、気温上昇を2℃に抑えるために炭素価格が1トンCO2当たり1万円で導入された場合、電力セクターの排出係数が低炭素化により減少していくことを加味しても、当社が省エネに取り組まなければ、一定の財務的影響があることがわかりました。
一方、当社が省エネに取り組んだ場合、炭素価格の導入による店舗運営コストだけでなく電気料金の削減も可能となり、財務的影響は許容できる範囲に抑えられることがわかりました。
さらに、「2050年の1店舗当たりのCO2排出量100%削減」に向けては、省エネを推進するだけでなく再生可能エネルギーの調達をする必要があり、調達単価の高低によって、多少の影響額に差はあるものの、この場合も財務的影響は限定的と見込んでおります。
グループとして、大規模な災害に備えることはもちろん、災害が発生したときには生活に不可欠な商品やサービスを提供する「ライフライン」としての役割を果たすために、迅速に各種の災害対策を講じて被害店舗の早期復旧、営業再開を目指しています。
当社が掲げる「全員経営理念」を基に、本社指示以外にも災害発生時には状況に応じて一人一人が最善を尽くし、営業継続と早期復旧ができる強い組織を構築してまいります。
一部沿岸部等の立地店舗等もありますが、分析の結果、2050年までは、2℃シナリオ、4℃シナリオのいずれにおいても洪水被害の増加による財務的影響は限定的であり、許容できる範囲であることがわかりました。
このたび、当社では気候変動に関するリスクと機会を洗い出すとともに、2℃シナリオ及び4℃シナリオに基づき、事業への影響の分析を実施しておりますが、今後さらに内容の充実、精査が必要であると考えております。
また、昨今の世界における気候変動問題に対する機運の高まりを受け、気候変動に関わる政策や法規制の制定等、世界及び日本の動きも大きく、かつ素早く変化してくるものと思われます。
このような状況のもと、事業戦略の見直しを進めていくためにも、分析の精度を上げるように努めてまいります。
そして、その結果を開示することにより、ステークホルダーの皆さまの要請にお応えしてまいりたいと存じます。
当社ではCO₂排出量削減を積極的に推進し、2007年には、環境面や安全面を考慮し、石油暖房器具・ガス製品の取り扱い中止を行いました。
また、2010年より実施しているLED電球の普及活動、店舗等自社施設での照明をすべてLEDへ切り替えも完了しております。
2022年には「省エネコンサルタント資格」制度を開始し、省エネ関連の知識を学んだ自社従業員が、お客様に最適な省エネ家電選びのサポートをしてまいります。
自社の取り組みのみならず当社をご利用いただくお客さまにも働きかけ、ネットゼロエミッション社会の実現に貢献しています。
当社は、内部統制委員会において毎期毎に、部長、グループ長等の各組織の長が業務上のリスクを組織単位で抽出し、分析・評価を行うリスクアセスメントを実施しております。
対応が必要なリスクと判断した場合、各組織に対して対応責任者を選定し必要な対策を行わせることで、各組織におけるリスクマネジメントをサポートします。
また、内部統制委員会が重要なリスク事象と判断した場合には、速やかに取締役会に報告を行います。
気候変動リスクも全社的な重要リスクの一つと位置付けており、サステナビリティ委員会において気候変動リスクを評価し、年に1回以上検討・対応内容を取締役会に報告していきます。
当社は、社会課題・情勢等に鑑み、2030年の社会環境面に関わる目標(KPI)を設定し、達成に向けて取り組んでいます。
さらに、脱炭素社会の形成及びSDGsが目指す姿に貢献すべく、高い目標(CO2排出量削減)にチャレンジします。
ノジマ1店舗当たりのCO2排出量
2030年 2013年比 50%削減
2050年 同上 100%削減
カテゴリ | 内容 | 2013年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2030年度(目標) |
Scope1 | 社用車のガソリン(※1) | 174 t-Co2 | 307 t-Co2 | 309 t-Co2 | – |
Scope2 | 自社での使用電力(※2) | 24293 t-Co2 | 25118 t-Co2 | 24062 t-Co2 | – |
計 | 24467 t-Co2 | 25425 t-Co2 | 24371 t-Co2 | – | |
1店舗当たりCo2排出量 | 201 t-Co2 | 133 t-Co2 | 119 t-Co2 | 100 t-Co2 | |
2013年比 | – | 66.4% | 59.3% | 50% | |
店舗数(※3) | 122 | 191 | 205 | – |
※1 自社保有車車両、リース車両
※2 自社物件店舗、テナント店舗、通信単独店舗、物流センター、本社機能拠点(JR横浜タワー、クイーンズスクエア)
※3 デジタル家電専門店ノジマ店舗